
こんにちは、EC村長です。
ネット通販で年商1億円を目指す小さな小売店を運営しています。

村長~!セレクトショップの開業の仕方を教えて!
セレクトショップの開業の仕方を全6回に分けて解説するね!
今回は理想のセレクトショップに数字を当てはめてみる考察編だよ!

セレクトショップの開業の仕方を解説する第2回目になります。
今回は、理想のセレクトショップに数字を当てはめてみる考察編です。
セレクトショップを開業したい、セレクトショップの開業の流れを知りたい、そういった方に読んでいただきたい内容になっています。
当てはまる方は、ぜひ最後までご覧ください。

前回考えた理想のセレクトショップに数字を入れて実現可能かどうか考察するよ!
理想のセレクトショップに数字を入れる

前回は理想のセレクトショップを言葉(文字)にしました。
今回は前回考えた理想のセレクトショップに具体的な数字を入れていき、開業まで必要な資金や月の固定費、売上予測、損益分岐点を算出して、経営が成り立つかを考察していきます。

前回考えた自分の理想のセレクトショップに数字を当てはめていくんだね!
数字を当てはめると夢が立体的になって問題点が見えてくるよ。
村長の店舗の数値を当てはめていくから、経営できそうかシミュレーションしてみてね!

店舗取得費・家賃

実店舗を開こうと思っている地域の不動産情報を検索して店舗取得費と家賃相場を調べます。
店舗取得費は敷金と礼金です。
物件によっては家賃の半年分以上の敷金が必要になる場合もあります。
家賃は物件の築年数や坪数、メインストリートに面しているかなどで変わってくると思いますが、だいたいの坪単価が分かりますので、理想の実店舗の広さから家賃を想定してみてください。

不動産情報で出ている実際の物件でシミュレーションするのもお勧めだよ!
内外装費

理想とする店舗の内外装費を考察します。
居抜きで入る場合もあると思いますが、前提としてスケルトン物件で内外装の工事が必要と仮定します。
全てデザイン会社に任せるか、出来る部分は自分でするかで費用が変わってきます。
デザイン会社に内外装をお願いすると地域やデザイン会社にもよりますが、概ね坪25万ほどの費用が掛かります。
また、内外装のコンセプトや坪数などで費用が大きく変わります。

内外装費は拘ると高くなる傾向があるから、シンプルに自分ができるところは自分でやって費用を抑えることが重要だよ!
什器・備品代

什器はオリジナルで制作するのか、売られている什器を使うのかによっても費用が変わってきます。
お客様に見える場所にあるレジや電卓、照明器具、ハンガーなども内装の一部になるので、お金に余裕があれば最初から拘るのも良いかもしれません。
ショッピングバッグなどもオリジナルで制作すると費用が掛かりますので、事業が軌道に乗るまでは一般的な紙袋を使い、軌道にのったあとにオリジナルで制作するのも良いと思います。

村長の店は什器は売られているもの、ショッピングバッグもオリジナルではない無地の紙袋を使ってスタートしたよ。
軌道に乗ってから什器も袋もハンガーも良いものに変更していったよ!
ECサイト開設費用

ECサイトの開設には初期費用・月額費用が無料のサービスあれば、有料のサービスもあります。
ショッピングカート機能を提供するASPカートについては下の記事で紹介しています。
村長のお勧めは『おちゃのこネット』です。
無料プランは機能や決済方法に制約がありますが、始めやすく継続もしやすいです。
無料プランから有料プランへのアップグレードもできますので、とりあえず無料プランから始めてみるのをオススメします。

村長が『おちゃのこネット』を使い始めた時は有料プランしかなかったけど、今は無料プランがあるから始めやすいね!
無料プランだと制約があるから、本格的にECサイトをしたいという方は初めから有料プランをオススメするよ!
仕入資金

仕入資金の考察をします。
セレクトショップのオーダー時期は春夏1回、秋冬1回の年2回が基本です。
細かい追加オーダーはその都度行えますが、メーカーが在庫を抱えていないと再入荷ができませんので、大きくオーダーできるのは春夏と秋冬の展示会オーダー時期のみとなります。
半年間でどのくらいの売上を想定するかで仕入金額が変わってきます。
例えば、半年で売上1000万円を想定すると、半年分の仕入金額は掛け率60%の場合は600万円になります。
実際には仕入れた商品が全て完売する訳ではないので、売上1000万円を目指すのであれば600万円よりも少し多めに仕入れを行う必要があります。

売上を予測して仕入金額を決めなければならないから、仕入金額を決めるのは難しいね。
再入荷が細かくできるブランドもあるからそういうブランドと取引すると仕入が楽になるよ!
水道光熱費

毎月掛かる水道光熱費を予測します。
水道料金はセレクトショップだとほぼ掛かりません。
月3000円が妥当な数字です。
電気代は店内の照明の数や電球の種類、どの電力会社と契約するかによって大きく変わります。
村長の店舗はこれまでに電気料金の値上げに伴って電力会社を3つ変更しています。
電力会社には『燃料費調整額』という項目がありますが、『燃料費調整額』に上限がある電力会社を選ぶのをお勧めします。

電気の契約は通常の『電灯契約』と『動力契約』があるよ。
業務用のエアコンが店舗に設置されている場合は『動力契約』をすることで電気料金が安価になるよ。
通信費

月に掛かる通信費を予測します。
通信費は電話料金やインターネット代金、切手代、通販サイトの在庫連携システムに掛かる費用などです。
電話は営業電話を頻繁にしない限り、料金が上がることはないので固定電話代は4,000円ほどです。
ネット回線も契約プランによりますが5000円ほどです。
切手代はクレジットカード決済の売上票を送付する場合がありますので、月に約1000円。
月にかかる通信費は10000円程度になります。

ECサイトを多店舗展開する場合は在庫連携システムの費用が追加で1万円ほど掛かるよ。
自分の給与

自分の月の給与をいくらに設定するかを考察します。
自由に設定できる部分ではありますが、最低でもこのくらい貰いたいという金額を設定してみてください。

この後、開業に必要な資金と損益分岐点を計算して、経営が成り立つかどうかを考察していくよ。
人件費を低くしたり高くしたりして損益分岐点をシミュレーションしてみてね!
月の固定費

今まで出した数字をまとめると下記になります。
仕入資金500万を除く初期費用合計は約305万円、月に掛かる固定費は約44万になります。
だいたいの月の固定費を出して、損益分岐点の計算に入ります。

計算には入れていないけど、借入をして事業を始める場合は返済金額も月に掛かる固定費に入るよ。
損益分岐点

損益分岐点は赤字と黒字の境界線です。
損益分岐点を超えると事業が軌道に乗ったということになります。
損益分岐点は下記の計算で出すことができます。
損益分岐点売上高の公式
損益分岐点売上高 = 固定費÷(1−変動費率)
固定費は家賃や人件費などの毎月変わらない経費のことです。
変動費率は売上高に対する変動費の比率のことで、「変動費÷売上高」といった計算式によって求められます。
本来ですと売上に伴って発生するクレジットカード手数料なども含まれますが、ざっくりと損益分岐点を知りたいのでしたら変動費率は仕入の掛け率60%を当てはめます。
損益分岐点売上高の公式
損益分岐点売上高110万円 = 固定費44万円÷(1−掛け率0.6)
固定費が44万円の場合は110万円が損益分岐点となります。
110万円を25日で割ると44000円。
月25日の営業で1日の売上44000円が達成可能かを考えます。
売上予測

損益分岐点売上高を計算し、1日あたりの目標売上高が出ました。
次はメインで販売する商品の平均商品単価を算出し、客単価を考察します。
セレクトショップですと複数点買われるお客様もいらっしゃいますが、概ね1点だけ買われるお客様が多い印象です。
複数点買われるお客様も少しだけ考慮した客単価を算出してみてください。
損益分岐点の項で算出した1日の目標売上高が44000円の場合、客単価が25000円ですので、1日の目標購入者数は2人となります。

固定費の合計から、損益分岐点、1日の目標売上高、1日の目標購入客数まで数字にすることができました。
この数字が達成可能かどうかシミュレーションしてみてください。
開業に必要な資金

開業に必要な初期費用(店舗取得費や改装費など)は約305万。
仕入資金は500万と仮定しています。
この他に事業が損益分岐点に達するまでの運転資金が必要です。
運転資金は事業が損益分岐点を超えるまでの赤字の補填資金です。
損益分岐点を安定して超えるまで何カ月掛かるかを推察します。

運転資金は最悪を想定した売上高で算出するのをオススメするよ。
赤字の状態で資金調達をするのは難しいから事業をスタートする段階で運転資金は多めに準備しておいてね!
村長の参考数値をもとに算出した開業までに必要な資金の合計は、905万になります。
開業に必要な資金が算出できました。
安定した経営ができるか考える

損益分岐点、売上予測、開業資金が計算できたと思います。
それぞれの数値が実現可能か考察してください。
損益分岐点が高いと思うのでしたら経費の見直し、売上予測が高いと感じるのであれば商品単価、客単価の見直し、開業資金が高いと感じるのであれば開業に掛かる費用の見直しを行ってください。
損益分岐点と開業資金は事実に基づいた数値を使うので概ね近い数値が算出できると思いますが、売上予測はあくまでも予測になりますので、正確な数値にならない可能性があります。
ですので、期待値、通常値、最低値の3つの場合でシミュレーションをすることをお勧めします。
想定よりもうまくいった場合が期待値、想定通りの場合は通常値、想定よりも下回った場合は最低値でそれぞれ売上予測を立てて、損益分岐点に届くか考察してみてください。
一番重要なのは損益分岐点をクリアする売上を出し続けることができるかどうかです。
損益分岐点がクリアできなければ赤字経営に陥り、事業自体が破綻します。
最低値でも損益分岐点をクリアして赤字経営にはならないような事業計画を立てられることをお勧めします。
まとめ
今回はセレクトショップの開業の仕方を解説する2回目、理想のセレクトショップに数字を当てはめてみる考察編を解説してきました。
数字を当てはめることで夢が立体的になってより現実味が増したと思います。
シミュレーションを繰り返して損益分岐点を超えれそうにない場合や、数値を入れて魅力がなくなった場合はセレクトショップの開業はやめた方が良いと思います。
理想に数字を当てはめて、夢を実現したいと思う方は次の章をご覧ください。

次の章は開業資金の準備について解説するよ。
村長の実体験も盛り込んで考察していくね!
次の章は開業資金の準備の仕方を考察していきます。
自己資金の準備、事業計画書の作成、日本政策公庫からの借入など、実体験も含めて解説しています。
以上、村長でした。
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