
こんにちは、EC村長です。
ネット通販で年商1億円を目指す小さな小売店を運営しています。
村長~!セレクトショップの開業の仕方を教えて!
セレクトショップの開業の仕方を全6回に分けて解説するね!
今回は借入後から店舗オープンまでについて解説していくよ!
セレクトショップの開業の仕方を解説する第4回目になります。
今回は、借入後から店舗オープンまでについて解説していきます。
セレクトショップを開業したい、セレクトショップの開業の流れを知りたい、そういった方に読んでいただきたい内容になっています。
当てはまる方は、ぜひ最後までご覧ください。
店舗オープンに向けて準備をしていくよ。
仕入先の契約

商品の仕入れは仕入先と契約をするところからがスタートです。
ブランドによっては、バッティングやコンセプトが合わないなどで契約ができない場合もあります。
また、最低仕入金額などのミニマムが設定されている場合があります。
借入後から仕入先を探すのは効率が悪く事業計画書通りに進んでいかない可能性があるので、事業計画を作成している段階で取り扱いたいブランドに取引の交渉をして、仮契約をしておく必要があります。
具体的な契約方法は下記の3つです。
電話で交渉する

取り扱いたいブランドやメーカーまたは多数のブランドを卸している代理店に直接電話をして交渉する方法です。
どこで店舗を開業するのか、店のコンセプト、他に予定している取扱いブランドなどを説明し、お互いの条件が合えば取引の契約になります。
合同展示会へ行く

取引したいブランドやメーカーが合同展示会に参加している場合があります。
その合同展示会へ行き、直接交渉をするという方法もあります。
合同展示会に参加しているブランドやメーカーは新規取扱店を募集している場合が多いです。
実際に営業担当者に会って直接交渉ができるので、ブランドの特性や売れ筋商品、別注の制作の可否など、電話では聞きにくいようなことも話せる可能性があります。
卸サイトを使う

卸サイトを使用するのもお勧めです。
卸サイトの利点は沢山のジャンルの商品を見る事ができる点です。
選択肢が多くなるので売れる商品やコンセプトに合った商品が見つかる可能性があります。
無料会員登録をすると卸価格を確認することができるので、選択肢を広げるという観点から見ても会員登録をしておくことをお勧めします。
物件の契約

借入前に不動産の仮押さえができるのであればいいですが、仮押さえができない場合もあります。
仮押さえには預り金などの条件がある場合がありますので不動産屋さんと相談してみてください。
また、不動産の契約には保証人の準備も必要です。
借入後は速やかに不動産契約をして、内外装工事に入ります。
村長は仮押さえができなくて、不動産契約をしてから借入の審査を申し込んだよ。
借入の審査が通ったから良いけど、否認されていたらお金がないのに不動産契約したことになるから、今考えると順番が違ったなと思うよ。
電気・水道の契約

物件の契約が終わり次第、電気と水道の契約に入ります。
電気と水道は物件の契約時に不動産業者が書類を準備してくれている場合もありますが、準備が無い場合は自分で契約する必要があります。
水道は管轄の水道局、電気は『燃料費調整額』に上限がある電力会社を選ぶのがお勧めです。
内外装工事

不動産の契約をしたら次は内外装工事です。
事業計画書の通り、内外装工事を進めてください。
内外装を業者に依頼する場合は業者に呼ばれない限り、店舗に行く必要はありません。
内外装工事の完了日がわかると店舗オープン日も少しずつ見えてきます。
内装工事完了ととも什器や商品を搬入できるように準備をしておくのをお勧めします。
什器や備品の購入

内装工事を業者に依頼する場合は、工事の日程や完了日を業者が指定してきます。
内装工事の完了日の翌日には什器を搬入することが可能です。
内装工事完了日を過ぎてから什器や備品が届くように購入を進めてください。
クレジット決済など売掛の契約

店頭でクレジットカードなどのキャッシュレス決済が使えるよう売掛の契約をします。
キャッシュレス決済にはインターネット回線が必要な場合もあります。
また、クレジットカード決済の他に交通系の電子マネーなどの決済も付帯されるサービスもあるので、必要だと思う決済方法を使用できるか決済事業者に確認をしてみてください。
什器搬入・商品陳列

内装工事が完了したら什器の搬入や商品の陳列を行っていきます。
この頃にはオープン日も見えてくると思います。
レジや鏡、フィッティングの位置、どのラックに何を吊るすか、お客様が来店して接客を行い購入し見送るまでの動線をシミュレーションして配置をしていきます。
お洒落で見やすくて手に取りたくなるように陳列していきます。
店舗全体の商品の配置や売れる売り場作りのことを『ビジュアル・マーチャンダイジング(VMD)』といいます。
ロジカルに突き詰めていくことも可能な部分ですので、書籍などで勉強してもいいと思います。
広告

店舗をオープンしたばかりの頃は、どんなお店がオープンしたのか誰も知らない状態です。
SNSなどで地道に宣伝していくか、無料で掲載してもらえるような媒体に掲載してもらうか、有料の広告を出稿するかして集客を図ります。
効果のある広告を出すことができれば店舗への集客が期待できますが、費用対効果が悪い広告もたくさんあります。
SNSでの集客、無料・有料問わず広告を出す場合は効果測定ができるようなやり方をすると、検証と改善ができるのでお勧めです。
ターゲットに届く広告媒体はどこなのか、自分の店舗に合った集客の仕方を模索してみてください。
村長は開業当初、地方ファッション誌に広告を何度も出稿していたけど、効果はあまりなかったよ。
まずはお金をかけない集客に力を入れていくのをお勧めするよ!
開業届けなどの提出
資格や免許

セレクトショップを開業するにあたって必要な資格や免許は基本的にありませんが、古着を取り扱うのでしたら古物商の許可が必要となります。
古物商は実店舗を構える場所を管轄する警察署で申請が可能です。
古物商の取得にかかる費用は19,000円で申請から許可がおりるまで40日~60日程度掛かります。
また、古着をウェブサイトで販売する場合は『URLの届け出』を行う必要があります。
ウェブサイトで古着を販売したい場合は古物商の申請と一緒にURLの届け出を警察署で提出する必要があります。
開業届

税務署に開業届けを提出すると事業がスタートします。
開業届けの提出書類の正式な名称は『個人事業の開業・廃業等届出書』となります。
開業届けは事業を開始してから1カ月以内に提出しなければなりません。
開業届けの書き方は所轄の税務署に行けば教えてくれますので特に難しい点はありません。
提出には、事業所の住所、個人番号、印鑑が必要となります。
青色申告と白色申告

開業届けの提出と一緒に税務署に提出するのが、『所得税の青色申告承認申請書』です。
『所得税の青色申告承認申請書』は、事業の状況をしっかりと記録して計算し納税するという契約書類のようなものです。
申告の仕方には青色申告と白色申告がありますが、セレクトショップを事業としてしっかりと経営していきたいのでしたら青色申告一択です。
青色申告はルールに沿って記帳をしなければならないので作業工数が多いですが、控除額も大きいのが特徴です。
白色申告はルールが簡単で作業工数が少ないですが、控除額が少ないので納税額も多くなります。
青色申告がお勧めなんだね!
青色申告の記帳は会計ソフトを使用して自分でするのが一般的です。
『弥生会計』や『会計王』といった会計ソフトの他に『Freee』などのクラウドサービスを利用する方も増えていると思います。
自分で記帳すると何にどのくらいの費用が発生しているのか頭に入ります。
数字から経費の削減や効率化できる部分が見えてきますので、最初から税理士さんと契約するのではなく、ご自分で記帳されるのをお勧めします。
給与支払事務所等の開設届出書

従業員を雇う場合は、税務署に『給与支払事務所等の開設届出書』を提出することで、従業員に給与の支払いができるようになります。
従業員を雇用する場合は、給与から毎月源泉徴収をして、徴収した翌月10日までに納付することが義務付けられています。
給与を支払う従業員が10人未満であれば、特例として年2回(7月10日と翌年1月20日)の納付とすることができます。
特例の申請を行う場合は『源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書』を税務署へ提出してください。
雇用することが決まっている場合は、税務署に『開業届』を提出するときに『給与支払事務所等の開設届出書』と『源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書』も一緒に提出するのがいいよ。
労働保険の手続き

従業員やアルバイトを雇う場合は労働保険の手続きが必要になります。
労働保険は、労災保険と雇用保険の総称となります。
労働保険は業種や規模を問わず、雇用する場合に必ず加入しなければなりません。
雇用をした際は、まず労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署に提出します。
その後、雇用保険適用事業所設置届及び雇用保険被保険者資格取得届を所轄の公共職業安定所に提出する流れとなります。
労災保険は、労働者が業務上の事由または通勤によって負傷したり、病気になったり、死亡したりした場合に被災労働者や遺族を保護するため、必要な保険給付を行うものです。
雇用保険は、労働者が失業した場合および労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、労働者の生活および雇用の安定を図るとともに、再就職を促進するための必要な給付を行うものです。
従業員に支払う賃金に応じて、労働者と事業主がそれぞれ保険金を負担して支払います。
保険料率は引き上げ傾向になりますので、正確な保険料率や詳しい計算方法などは所轄の労働基準監督署や公共職業安定所にお尋ねください。
人を雇う時に必要な手続きだよ!開業届、マイナンバー、印鑑と身分証が必要だよ。
インボイス発行事業者の申請

2023年10月からインボイス制度が始まります。
インボイス制度をざっくり説明すると、今まで年商1000万円以下の事業者は消費税を納めなくてよかったのが、年商に関わらず消費税を納めなければならないということです。
インボイス発行事業者の申請を行わないと、本来小売店が納める消費税分を仕入先が負担することになるため、仕入先が取引に応じてくれない可能性が出てきます。
これは逆もあり、仕入先がインボイス発行事業者の申請を行わないと仕入先が納める消費税を小売店が負担することになるため、仕入先を変える必要性も出てきます。
この記事を書いているのが2023年8月で施行まであと2カ月ありますので、これから状況が変わるかも知れませんが、現在のところ『インボイス発行事業者の申請』を行わないと不利益が出る可能性があります。
セレクトショップという形態だと年商1000万はしっかりとやれば数年で超えるからインボイス発行事業者の申請は開業時にした方が良いと思うよ!
店舗オープン

什器の搬入、商品のディスプレイ、クレジット端末や備品の準備、税務署等への書類の提出が終わりましたら、いよいよ店舗オープンとなります。
お客様が入店されてからの一連の流れを確認し、接客ロールプレイングをして、不安な部分がないかを確認していってください。
店舗のオープンですが、友人や取引先を読んでレセプションパーティーを行ったり、オープンの数日前からオペレーションの見直しも兼ねてプレオープンをする店舗もあります。
自分のお店に合ったやり方でオープンを迎えるのが良いと思います。
村長は什器の搬入や商品の入荷日の見積もりが甘くて、徹夜でオープン当日を迎えたよ。
レセプションパーティーはしている暇がなかったけど、友人がたくさん来てくれたよ。
まとめ
今回はセレクトショップの開業の仕方を解説する4回目、借入後から店舗開業までについてを解説してきました。
借入後から店舗オープンまでの流れが理解できたと思います。
時間に余裕があって商品が先に入荷してきた場合は、ECサイトを先に製作するのも良いと思います。
セレクトショップのECサイト運営は下の記事をご覧ください。
次回は事業計画通りに行かず赤字経営が続く場合にするべき施策を解説したいと思います。
以上、村長でした!
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