
こんにちは、EC村長です。
ネット通販で年商1億円を目指す小さな小売店を運営しています。

「セレクトショップを経営して学んだことを紹介するシリーズ」だよ。
今日は何を教えてくれるの?
今回は「ブランド名に騙されるな」ということについて書いていきたいと思います。

セレクトショップを経営してコレクションブランドやドメスティックブランド、ファクトリーブランド、代理店を通してインポートの商品も多数取り扱ってきました。
誰もが知っている知名度があるブランドや誰も知らないようなマニアックなブランド、古着を取り扱った経験もあります。
その経験から分かったことは「ブランド名があっても売れない」ということです。
今回は、【セレクトショップを経営して学んだこと】ブランド名があっても売れないについて解説します。
セレクトショップを開業したい、セレクトショップを経営している、そういった方に読んでいただきたい内容になっています。
当てはまる方は、ぜひ最後までご覧ください。

実体験に基づいた内容だよ。
全てのセレクトショップに当てはまらない可能性もあるのでご承知おきください。
ブランド名に騙されるな

『ブランド名があるはずなのに売れない。』
セレクトショップのバイヤーを経験した方は必ず思ったことがあるのではないでしょうか。
知名度や人気があるにも関わらず売上にならないということは、知名度や人気が売上に直結していないか、売上にならない他の原因があることになります。
知名度や人気のあるブランドでも売れない場合があるのはどうしてなのか、考察していきます。

知名度があるブランドでも売れないことがあるよね。
まずは村長の実体験を書きたいと思います。
実体験:有名ブランドでも売れなかった

有名ブランドを取扱っても売れなかったことが多々あります。
「売れる」「売れない」の基準は店舗毎に異なると思いますが、村長が思う「売れる」というのは想定以上の販売数があった場合です。
逆に「売れない」という基準は想定を下回った場合で、シーズン中にプロパー販売で完売をしなかった場合です。
売れると思って取り扱ったブランドが売れなかった体験談を書きたいと思います。
CASE1:全国紙に頻繁に掲載されているブランド

全国紙に頻繁に掲載されているブランドは一見売れているように見えますが、実際に販売しなければ売れるかは分かりません。
村長の店舗で取り扱ったブランドで全国紙に掲載されているブランドは多々ありますが、売れるブランドはほんの一握りでした。
『売れる商品=人気がある』の公式は成り立つと思いますが、『人気がある=全国紙に掲載されている』ではないということです。
全国紙に掲載されている知名度があるブランドも想定よりも売れない場合があるので注意が必要です。

各サイズ1枚ずつしか入荷していないのに完売しないブランドもあるよ。
CASE2:ヒットメーカーと呼ばれるデザイナーが作る洋服

ヒットメーカーと呼ばれるデザイナーが制作しているブランドと取引をしたことがあります。
そのデザイナーは幾つかのブランドを企画している方でした。
その方は業界内では売れている地位を得ている方だと思いますが、村長の店舗ではあまり売れませんでした。
ここから分かることは業界内で売れていると認識されているブランドでも店舗によっては売れないということです。
売れているブランドを取扱っても売れない場合があるので注意が必要です。
CASE3:誰もが知っている有名ブランド

広く認知されているブランドの上位ラインなども取り扱ったことがありますが、こちらも村長の店舗ではあまり売れませんでした。
通常のラインもあまり売れませんでしたが、取扱店を絞った上位ラインも同じく売れませんでした。
認知されているブランドやそういったブランドの上位ラインでも売れない場合があるので注意が必要です。
売れない理由を考察

売れる準備をしっかりとしていることを前提に話を進めていきたいと思います。
商品が売れない理由の多くは下記の4つに分かれます。
価格競争

ネット通販で商品を購入できる時代ですので、消費者は価格やサービスの比較がしやすい状況です。
A店で試着をしてサイズを確かめて、お得に買えるB店で購入するという流れができています。
この状況を改善するにはお得に購入できる店舗よりも安い価格にするか、価格競争になっていないブランドと取引をするしかありません。
価格競争で勝つには薄利多売で運営していくことになります。
利益が薄くて忙しいという負のサイクルになりますので価格競争で勝負をするのはオススメできません。
価格競争になっていないようなブランドと取引をすることが求められます。

人気ブランドも価格競争になっていると一番安い店舗でしか売れていないような状況になっているよ。
新たにその市場に参入しても勝ち切るのは難しいよ。
需要と供給

当たり前の話ですが、人気は需要と供給のバランスが崩れることで発生します。
需要が多く供給が少ない場合は人気の商品になります。
逆に需要が少なく供給が多い場合はあまり売れない商品で不良在庫になりやすいということです。
取扱いブランドの他店舗での商品ラインナップや他店舗の入荷状況などを見ることで需要と供給のバランスが取れているか、ある程度は判断ができます。
また、需要と供給のバランスが崩れた売れている商品は自然とお問い合わせの件数も多くなります。
お客様から入荷時期などの問い合わせがないブランドは需要と供給のバランスが崩れていない普通の商品です。
他店舗でも売れていそうで、お問い合わせがあるブランドと取引をする必要があります。
希少性

全ての商品には当てはまらないですが、希少性があると売りやすいです。
商品そのものが希少な場合はもちろんですが、生産方法や原料、縫製方法などに希少性があると商品が魅力的に伝わります。
消費者は良いものを購入したいと思っているので、他と比べて優れている部分がないと購入しません。
色や形やデザインで購入する人もいますが、それだけで人気商品にはなれないのです。
希少性や特別な部分がしっかりと説明できる商品を取り扱うことが重要です。
競争優位性

競争優位性とは自社と競合他社を比較したときに圧倒的に有利な状況になっていることを指します。
例えば同じ商品を取り扱っているA店とB店が隣通しで店舗を構えているとします。
どちらも同じ商品を扱っているので普通で考えれば売上は同じになるはずです。
これをどちらかの店舗が多くシェアを取ることで競合よりも圧倒的に優位な立場に立つということになります。
多くの店舗が安売りで競合優位性を確保しようとします。
安売りが簡単だからです。
ただ、安売りはブランドイメージの低下に繋がり、価格競争を加速させるのでお勧めできません。
まずは自社の競合よりも売れる強みを見つけること。
そして自社の強みを磨いて競争優位性を確保することが重要です。
売れないブランドの特徴

売れないブランドには特徴があります。
実際に売れているかは分かりませんが、売れていると言われているブランドでも売れていない可能性もあります。
売れないブランドの特徴に当てはまっていないかチェックしてみてください。
営業が多い

営業担当からの電話が多いブランドは売れていません。
コンタクトを頻繁に取ることで追加オーダーの機会を伺っています。
営業電話やメールなどコンタクトが多いというのは、オーダーが欲しいということです。
売れているブランドは自社の運用で手一杯になる場合が多いので、こちらから電話をしても相手から電話がくることはほぼありません。
営業電話が掛けられるほどの時間があり、労力も使わないと売れないということになります。
展示会が多い

全てのブランドに当てはまっている訳ではありませんが、展示会が多いブランドもイメージが良くありません。
展示会はブランド側が営業を仕掛けてきます。
オーダーしたい商品だけオーダーすることが基本になりますが、営業担当によってはオーダーしたくない商品をオーダーするよう求めてくる時があります。
たかだか数枚でしかありませんが、「オーダーしたくない商品=売れそうにない商品」になりますので、オーダーしたくない商品を仕入れることになるとセレクトショップ側にメリットはありません。
また、売れない商品はそのまま不良在庫になることもあるので、自然とそのブランドからオーダーをしないようになっていきます。
その場だけオーダーをつけてもらいたいというブランド側の身勝手な営業が疲れます。
営業担当の良し悪しはありますが、そもそも展示会がなければ売れない商品をオーダーすることもありません。
全てのブランドに当てはまる訳ではありませんが、展示会が多いブランドは売れない場合が多いです。
ミニマムが設定されている

オーダーのミニマムが設定されているブランドも売れない場合が多いです。
ミニマムはオーダーの最低金額のことです。
ミニマムが設定されているということは、売上が低い店舗は無理な数量を入荷させるということになります。
これは需要がないのに供給量を増やしていることになるので、結果的に安売りに繋がります。
ネット通販で安売りをし始めると、価格競争が起こり、ブランドイメージも低下していきます。
ミニマムを設定するのであれば、少量しか入荷させない店舗との取引を停止して取扱店を絞るのが得策だと思いますが、ブランド側が取扱店を絞るのは滅多にありません。
ミニマムをクリアできる、できないに関わらず、ミニマムを設定しているということは多かれ少なかれ価格競争になるということを覚悟しましょう。
売れないブランドとの付き合い方

自社の取扱いブランドが売れているか、売れていないか、冷静になって考えてみると売れていないブランドが1つは出てくると思います。
こういったブランドとどのように付き合っていったら良いかを考えます。
売れない理由を精査する

売れるブランドにも売れないブランドにも理由があります。
まずはそのブランドがなぜ売れていないのかという理由を突き止めます。
上で説明した「売れない理由」や「売れないブランドの特徴」などに当てはまる場合はオーダーの仕方やオーダー金額を少なくするなどの対策をすることで改善される場合もあります。
売れない理由を徹底的に調べることが重要です。
将来性がない場合は取引を辞める

売れない理由が自分にある場合は改善することが可能な場合もありますが、売れない理由が外的要因の場合は自分で改善することができません。
その場合は改善ができないので、今の状態が続くか、悪化するだけです。
自分で改善できない場合はブランドとの取引を辞めることをお勧めします。
取引を辞めたくない場合

売れていない状況が理解できても取引を辞めたくないこともあると思います。
服が好きなら尚更です。
ただ、取引をやめないと状況は悪化していきます。
売れない商品を仕入れると廃業に追い込まれる

洋服が好き、ブランドが好きという感情論で経営をすると一部の金持ち店舗を除いてセレクトショップは全て廃業します。
感情ではなく数値で判断することが大切です。
売れない商品を入荷させると不良在庫になりキャッシュフローが悪化します。
期末棚卸金額も不良在庫で増加するので結果的に税金も増えてキャッシュフローが悪化します。
売れない商品を仕入れると現預金が少なくなり、仕入ができなくなります。
最悪の場合、経費の支払いもできなくなり、廃業に追い込まれます。
売れないブランドとの取引はできるだけ早く辞めることをお勧めします。
売れないものは売れない

経験上、売れなかったブランドが売れるようになるというのはブランドの成長期しかありません。
成熟したブランドが流行にのって売れることはありますが、そういったブランドはそもそも流行にのる前からある程度売れています。
一部のセレクトショップにあるのが、数人で運営している小規模セレクトショップにも関わらず多くのブランドを取扱っている店舗です。
こういった店舗はバッティングを意識して様々なブランドを運営しているのか、ブランドとの取引を辞めることができないのか分かりませんが、各ブランドの商品をつまみ食いしている状況で、専門店とは程遠いセレクトショップに見られます。
こういったセレクトはオススメできません。
ブランドの成長期でない限り、今売れていないブランドは今後もほぼ売れません。
経験上、見たことがないのです。
まとめ

今回は【セレクトショップを経営して学んだこと】ブランド名があっても売れないについて書きました。
冒頭でも書きましたが、あくまでも村長の経験に基づいた内容ですので、全てのセレクトショップに当てはまる内容ではないと思います。
また、村長の周りにいるファッション業界の人は、村長の考え方や行動を「数字で判断するのはダサい」とか「金が好きなだけで服が好きじゃない奴」と言う人もいます。
色々な考えがあって良いと思いますが、売上が減少して店舗が廃業するのが一番ダサいと思いますので、村長は数字を追求していった方が幸せになれるのではないかと考えています。

アパレル業界は小金持ちが経営している場合も多いよ。
小金持ちが経営しているセレクトショップは事業が成り立っていない場合もあるから、しっかりと数字で判断することをお勧めするよ!
以上、村長でした!
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