セレクトショップの運営 セレクトショップ開業

損益分岐点を把握する【セレクトショップ開業】

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こんにちは、EC村長です。

ネット通販で年商1億円を目指す小さな小売店を運営しています。



村人A

村長~!
損益分岐点について教えて?

損益分岐点は経営の初歩ですね。

釈迦に説法の方もいらっしゃると思いますが、改めて記事にしてみたいと思います。

EC村長



セレクトショップ経営だけでなく、事業経営において損益分岐点を把握することは非常に重要です。

損益分岐点とは、売上高が費用と同額になり利益がゼロとなる数値のことを表します。
損益分岐点を理解することで、経営の健全性を確認し、適切な経営判断を行うことができます。



今回は、具体的な数字とグラフを用いて損益分岐点の計算方法とその重要性について解説します。

セレクトショップを開業したい、セレクトショップを経営している、そういった方に読んでいただきたい内容になっています。

当てはまる方は、ぜひ最後までご覧ください。



今回の記事に書かれている内容

  • 損益分岐点の重要性
  • 損益分岐点の求め方



EC村長

損益分岐点はセレクトショップ経営者として知っておかなければならない項目の1つです。

理解している方も改めて確認してみてください。



損益分岐点とは?



損益分岐点は、売上高が費用と同額になり、利益がゼロとなるポイントです。

これを超える売上高を達成すれば利益が生まれ、逆にこれを下回れば損失が発生します。

損益分岐点を把握することで、目標売上高を設定し、経営計画を立てることができます。



村人A

損益の分岐点。

漢字の意味そのままだね!



損益分岐点の計算方法



損益分岐点は以下の式で計算できます。



損益分岐点の計算方法

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷( 1 - 変動費率 )



変動費率は売上高のうち変動費が占める割合になります。

変動費率は以下の式で計算できます。



変動費率の計算方法

変動費率=変動費÷売上高



村人A

なんだか一気に難しくなった気がする。。。

計算式を見ると難しい気がしてくるけど、実際は難しくありません。

各項目の説明をしてから具体的な数値を入れて計算してみます!

EC村長



固定費と変動費の定義

固定費と変動費について解説します。

固定費と変動費の定義は以下の通りです。



固定費と変動費の定義

  • 固定費: 売上高に関係なく発生する費用。例: 家賃、人件費、光熱費など。
  • 変動費: 売上高に比例して発生する費用。例: 商品仕入れ原価、販売手数料など。



売上の増減で金額が変わらない費用は固定費です。

家賃や光熱費、人件費などが固定費になります。

売上の増減で金額が変わるのが変動費です。

販売手数料や通販の発送費用などが変動費になります。



変動費の計算でややこしいのが仕入原価です。

計算式で当てはめる数値は仕入の原価率で構いませんが、あくまでも適正仕入を行った場合となります。

過剰仕入に陥っている場合は原価率で計算しても正確な数値が出てきません。

月次決算を出していれば、期首在庫高と期末在庫高から原価率が計算できますが、ざっくりとした損益分岐点を計算したい場合は販売した分だけの適正仕入をおこなっていることが前提となっていることを心に留めておきましょう。



EC村長

固定費は計算すると簡単に出せると思いますが、変動費は少し時間が掛かります。

実際の数字を入れて計算してみたいと思います。



具体例を用いた計算

以下の具体例を用いて、損益分岐点を計算します。



具体例を用いた計算

  • 固定費: 月額500,000円
  • 変動費率: 売上高の65%(変動費は売上高の65%)




具体例を用いた計算

損益分岐点売上高 = 500,000 ÷(1−0.65)=1,428,571円



半端な金額となってしまいましたが、固定費50万円、変動費率65%の場合は月額1,428,571円の売上高を達成すれば損益分岐点に到達します。



ざっくり計算したい場合

損益分岐点をざっくり計算したい場合は、変動費は取り扱っているブランドの原価率でOKです。

クレジットカード決済が多いのであれば決済手数料3~5%を計算に組み込みます。

多モール展開をしていたり、ネット通販が多いのであればモールの販売手数料や出店料、配送料金など15%~25%を計算に組み込みます。



EC村長

村長が運営しているセレクトショップはネット通販が多いです。

ざっくり計算をする場合は原価率60%に販売手数料などが15%で変動費率75%で計算をしています。

参考にしてみてください。



損益分岐点をグラフで視覚化



損益分岐点をグラフで視覚化することで、より理解が深まります。

以下は、損益分岐点を表すグラフの例です。



グラフの例



グラフの説明

  • 横軸: 売上高
  • 縦軸: 費用と利益
  • 固定費線(緑): 500,000円で水平線
  • 変動費線(青):売上高の65%と仮定
  • 総費用線(黄色): 固定費 + 変動費
  • 売上高線(赤): 売上高に比例して上昇する線



グラフの解釈

売上高が150万円(正確には148万円)の地点で、総費用線と売上高線が交差します。

先程の計算例では損益分岐点が142万円でした。

グラフの損益分岐点に誤差があるのは小数点の切り捨てや四捨五入などが影響しています。

グラフで考えると売上高が148万円を超えると、利益が発生します。

売上高が148万円を下回ると、損失が発生します。



EC村長

変動費率を正確に出して計算すると正確な損益分岐点が出ますが、重要なのはざっくりとした損益分岐点です。

損益分岐点を大きく超えなければ経営は苦しいままですので大まかな損益分岐点を把握して売上を大きく超えるよう努力をしていくことが重要だと考えます。



損益分岐点を把握する重要性



損益分岐点を把握する重要性を書いていきます。



経営計画の立案

損益分岐点を把握することで、目標売上高を設定し、経営計画を立てることができます。

特にセレクトショップは春夏と秋冬でまとまった金額をオーダーしますので売上目標を立てなければなりません。

数カ月分の仕入を1回の展示会で行いますので売上計画がなければ仕入金額を決定することはできません。

過剰仕入に陥らないで売上を伸ばしていけるような戦略を立案するには損益分岐点の把握は必須となります。



リスク管理

損益分岐点を把握することで、売上高が低下した場合のリスクを管理できます。

先程のグラフの損益分岐点で考えると売上高が100万円の場合、48万円の損失が発生することが予測できます。

予測ができれば対処が可能となりますのでリスク管理の観点から見ても損益分岐点は把握しておかなければなりません。



コスト削減の検討

当たり前ですが、損益分岐点は低い方が利益はたくさん出ます。

損益分岐点が高いと感じるのであれば、固定費や変動費の削減をすることで損益分岐点を下げることが可能です。

家賃の交渉や移転、仕入原価や販売価格の見直しなどが考えられます。



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まとめ



今回はセレクトショップ経営において損益分岐点を把握することの重要性について解説しました。

損益分岐点を把握する重要性や計算方法がご理解いただけたら幸いです。

昨今の値上がりで固定費や変動費も上がっていると思いますので、この機会に損益分岐点を改めて計算することをお勧めします。



EC村長

様々なモノやサービスが値上がりしていますので、損益分岐点も上がっていると思います。

この機会に損益分岐点を再計算するのもお勧めです。



以上、村長でした。





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