
セレクトショップを長く経営していると、「この商品、なんとなく動きそうだから多めに仕入れておこう」「去年はすぐ売り切れたから今年は倍にしてみよう」といった“経験則”に頼る場面が少なくありません。
もちろん、現場感覚や肌感覚も大切です。
ただ、売上を安定して伸ばしていくためには、それだけでは限界があります。
私自身、複数のECモールを運営するなかで、「仕入が売上をつくる」という当たり前の事実と向き合い続けてきました。
そして今、仕入を感覚から“データ”に置き換えていくことで、売上の波を平準化させ、在庫の最適化による利益改善が図れるようになっています。
今回の記事では、当店でも活用しているネクストエンジンを使った売上分析の方法についてご紹介します。
ネクストエンジンは、受注管理や在庫連携のツールとして知られていますが、実は「仕入判断に使える優秀な分析ツール」でもあります。
仕入に迷いや不安を感じることがある経営者の方にとって、きっとヒントになる内容になるかと思います。参考になりましたら幸いです。
ネクストエンジンとは何か

ECを複数展開していると、モールごとの管理画面を行き来したり、在庫数の整合性に神経を使ったりと、運営の煩雑さが一気に増します。
とくにセール時期や繁忙期には、スタッフの負担も大きくなり、受注ミスや在庫ズレが発生しやすくなります。
ネクストエンジンは、そういった煩雑な業務を一元管理するクラウド型システムです。
楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、自社ECなど、複数の販売チャネルを統合し、受注処理・在庫管理・商品登録といった業務を効率化してくれます。
ただ、ネクストエンジンの真価は「単なる業務効率化ツール」にとどまりません。
日々の販売データを蓄積・可視化することで、売上の分析や仕入の最適化にも活用できる、まさに経営の土台を支える“数字の見える化”ツールなのです。
複数モールの受注・在庫管理を一元化する仕組み

たとえば楽天で10点、Yahoo!で3点、Amazonで5点というように、別々のモールで同じ商品が同時に売れていくと、在庫の整合性を保つのは至難の業です。
ネクストエンジンはそれぞれのモールとリアルタイムに在庫を連携し、売れた分を数分毎に引き当てるため、在庫の二重販売や販売機会のロスを防げます。
また、出荷処理も一つの画面でまとめて行えるため、スタッフの作業時間を短縮でき、ヒューマンエラーのリスクも減少します。
少人数で運営しているショップほど、この一元化の恩恵は大きく、「人手不足でもまわる仕組み」を構築できるのが大きな魅力です。
小規模ECでも導入しやすい価格とサポート体制

ネクストエンジンは「月額3,000円台〜」という比較的リーズナブルな価格設定で、月商数十万円〜数千万円の小規模〜中規模EC事業者に特に適しているサービスです。
また、導入前の無料相談やオンラインマニュアル、チャットサポートも充実しており、「システムは苦手」という方でも安心して導入を進められます。
導入初期は少し戸惑う部分もありますが、慣れてしまえば「人力でがんばっていたことは何だったのか」と感じるほど効率が変わります。
私自身、導入後にミスが激減し、空いた時間を商品企画や分析にまわせるようになったことで、売上にも好影響が出ました。
データ分析で仕入精度を高める

セレクトショップの仕入は、まさに「経営そのもの」と言っても過言ではありません。
どの商品を、いつ、どれだけ仕入れるか。その判断ひとつで、売上も在庫回転も利益率も大きく変わります。
ところが、この最も重要な判断が「勘と経験」だけに頼ってしまいがちなのも、私たちのような小規模事業者にありがちな現実です。
ネクストエンジンを使うと、販売実績や在庫推移といった情報がリアルタイムで可視化され、仕入の判断が「なんとなく」から「根拠あるもの」へと変わっていきます。
仕入に迷いがある方、在庫の偏りやセール依存から抜け出せない方には、ぜひ取り入れていただきたい視点です。
感覚に頼らない「見える化」された販売実績

「この商品、売れてる気がする」──そう感じていても、実際には売れているのは一部の色・サイズだけだったり、リピーターに支えられている商品だったりすることがあります。
ネクストエンジンには商品別の販売件数や金額、期間ごとの売上推移を見られる機能があり、売れ筋・死に筋が明確に把握できます。
たとえば、1カ月で30件売れている商品があったとしても、それが全サイズ均等に動いているのか、ある1サイズに集中しているのかによって、次の仕入判断は大きく変わります。
こうした細かな動きも、数字で“見える化”されることで、感覚のズレを修正しやすくなるのです。
季節商品の動向をもとに来年の入荷数を決める

春の軽アウター、夏のTシャツ、秋のニット──季節商品は売れる時期が短いため、仕入の読みが難しいカテゴリです。
過剰に仕入れればセールで利益を削ることになり、逆に絞りすぎると販売の機会を逃してしまいます。
ネクストエンジンの販売履歴を活用すれば、前年の販売開始日・ピーク・終息の時期、1週間あたりの売上数、在庫残数などを詳細に確認できます。
そのうえで「前年はこのくらい売れたから、今年はこの時期にこの数量」と、来季の仕入数量やタイミングを“数字ベース”で計画することが可能になります。
定番商品の回転率と適正在庫の把握

定番商品は「常にあるべきもの」とされがちですが、実は最も在庫コントロールが難しいカテゴリでもあります。
少なすぎれば売り逃し、多すぎれば資金が寝てしまう。
だからこそ、在庫回転率=販売スピードを常に把握しておくことが重要です。
ネクストエンジンでは、一定期間の販売数と現在の在庫数をもとに、商品の消化スピード=回転率を確認できます。
たとえば「1カ月で20点売れる商品に対して在庫が100点ある」といった場合、回転率は非常に悪く、過剰在庫の可能性が高いという判断ができます。
逆に、回転率の高い商品はリピートのチャンスと捉え、在庫を切らさないよう早めの追加発注をかけるなど、攻めの在庫戦略にもつなげられます。
実店舗とECの売上をつなぐ分析活用

セレクトショップの経営において、実店舗とECの売上は一体で考えるべき時代になっています。
とはいえ、「実店舗ではよく売れるけどECでは動かない」「在庫の偏りがひどくて安売りばかりしている」──こういった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
ネクストエンジンを活用することで、実店舗とECの両方の販売データを集約・分析し、全体最適な仕入と在庫管理が可能になります。
データに基づいて仕入と在庫配置を行うことで、セール依存からの脱却と、より健全な利益体質の構築が現実的なものとなってきます。
安売り依存から脱却するための仕入コントロール

売上を立てるためにやむなく値引きや割引クーポン、ポイント付与などの安売りを繰り返していないでしょうか。
安売りをすれば確かに一時的に売上は伸びますが、安売りを繰り返すと「定価で売れない店」になってしまい、ブランド価値の毀損につながり、最終的には売れなくなります。
ネクストエンジンでは、販売実績と在庫残をセットで把握することができます。
「どの商品が、どのタイミングで、どれだけのスピードで売れているか」を可視化できるため、売れ残りの原因が“仕入数”にあるのか、“販売時期”なのか、“販促不足”なのかを検証できるようになります。
これにより、次回の仕入では無駄を削減し、「値下げしなくても売れる」仕入計画を立てやすくなるのです。
実際に当店でも、データをもとに仕入を見直した結果、シーズン終了時の在庫消化率が大きく改善しました。
ECと実店舗の在庫最適化のポイント

店舗とECで在庫が分かれていると、どちらかに在庫が偏り、「売れるところに在庫がない」という機会ロスが生じがちです。
とくに定番商品やシーズン初動の人気アイテムは、リアルタイムで在庫調整をしないとすぐに販売チャンスを逃してしまいます。
ネクストエンジンの在庫管理機能では、ECと店舗の在庫を一元的に管理・共有できるため、売れ行きに応じた移動や再配分の判断がしやすくなります。
たとえば「実店舗でサイズMが売れているが、ECには在庫が余っている」というようなケースも、データで把握して対処が可能です。
さらに、ネクストエンジンからCSVで在庫データをエクスポートし、Googleスプレッドシート等で自社独自の視点から分析することもできます。
実店舗とECの在庫を分けて考えるのではなく、“全体としての最適化”を目指すことが、今後の収益改善につながります。
ネクストエンジン分析機能の具体例

ネクストエンジンは「受注・在庫管理システム」として知られていますが、実は経営に役立つ分析機能も豊富に備えています。
これらの分析ツールを活用することで、日々の販売実績から商品の動向を読み取り、より精度の高い仕入や在庫戦略が立てられるようになります。
特別な知識がなくても操作できる設計になっているため、「数字は苦手」という方でも、売上データや在庫情報を“経営判断につながる情報”へと変えることができるのが大きな魅力です。
売上ランキング・在庫回転率・売上推移

ネクストエンジンの「分析」メニューでは、商品別の売上ランキングや日別・週別・月別の売上推移などを数値で簡単に確認できます。
たとえば、「先月の売上上位10アイテム」を見れば、どの商品が実際に利益を牽引していたかが一目瞭然です。
売れているのに在庫が足りないアイテムや、逆に動きが悪いのに在庫が多いアイテムも把握できます。
売上のピークと落ち着きのタイミングも数値から読み取れるため、セールやプロモーションの適切なタイミングも逆算して計画できるようになります。
CSVエクスポートとGoogleスプレッドシート活用

ネクストエンジンでは、各種データをCSV形式で出力することができるため、自社の経営スタイルに合わせてカスタマイズした分析も可能です。
私の場合、売上や在庫のCSVデータを定期的に出力し、Googleスプレッドシートで独自の仕入シートや在庫回転シートを作成しています。
たとえば、前年と今年の同時期の売上を並べて比較したり、カテゴリごとの回転率をランキング化したりすることで、より細かな仕入戦略や販売戦術を練る材料が整います。
クラウド上で管理できるため、外出先や別の端末からでも確認できるのも便利です。
Excel派の方にも同様の使い方が可能で、“数字をもとに経営をする”感覚が日常業務に自然と組み込まれていきます。
まとめ セレクトショップにとっての「仕入分析」こそが差別化の鍵

セレクトショップにとって、「何を仕入れるか」「どれだけ仕入れるか」は、お客様に提供する価値そのものであり、店舗の方向性やブランドイメージにも直結します。
だからこそ、仕入は“感覚”ではなく“データ”で考える時代に入っています。
ネクストエンジンを活用すれば、複数モールの受注管理だけでなく、売上データ・在庫状況・回転率・季節動向といった多角的な情報を一元的に把握でき、精度の高い仕入が実現可能になります。
結果として、過剰在庫や販売機会のロスを減らし、売上・利益の安定化とセール依存からの脱却が見込めるようになります。
私自身も、ネクストエンジンを導入してからは「売れ残りを恐れて仕入を絞る」よりも、「売れる根拠をもとに仕入を伸ばす」思考へと変化しました。
これは、売上の土台を強化しながら、自信を持って商品を届けられる環境づくりでもあります。
今後、セレクトショップの競争はさらに激化していくでしょう。
そんな中で、“売れる理由”を数値で把握し、それに基づいて判断する経営力が、最大の差別化要因になると確信しています。
まだ分析ツールを十分に活用できていない方は、ぜひ一度、ネクストエンジンの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
仕入の失敗が減る ネクストエンジンで始める売上分析術
セレクトショップを長く経営していると、「この商品、なんとなく動きそうだから多めに仕入れておこう」「去年はすぐ売り切れたから今年は倍にしてみよう」といった“経験則”に頼る場面が少なくありません。 もちろん、現場感覚や肌感覚も大切です。 ただ、売上を安定して伸ばしていくためには、それだけでは限界があります。 私自身、複数のECモールを運営するなかで、「仕入が売上をつくる」という当たり前の事実と向き合い続けてきました。 そして今、仕入を感覚から“データ”に置き換えていくことで、売上の波を平準化させ、在庫の最適化 ...
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