
日記というほど立派なものではありませんが、私は定期的に、思ったことやその時考えていた事業のことをA4ノートに書き留めています。
いわば走り書きのようなもので、誰に見せるわけでもなく、その時の自分の頭の中を整理するための記録です。
先日、そのノートを久しぶりに読み返す機会がありました。
そこには2020年当時の事業計画や、正直な気持ち、不安や焦りがそのまま書かれていました。
日記を読み返すことで、当時の自分が何に悩み、何を恐れ、どこを目指していたのかが、驚くほど鮮明によみがえってきます。
今回は、そんな「日記を書くこと」について、セレクトショップ経営者として感じたことを少し書いてみたいと思います。
日記を書くということ

私が書いている日記は、いわゆる「日記らしい日記」ではありません。
その時に考えていたことや、事業について思いついたこと、不安や計画をA4ノートに走り書きするようなものです。
文章の上手さや整合性を気にすることもなく、とにかく頭の中にあるものを書き出すことを目的にしています。
事業をしていると、日々さまざまな判断を迫られます。
正解かどうか分からない選択を繰り返す中で、考えを一度紙に落とすだけでも、気持ちが整理される感覚があります。
私にとって日記を書くという行為は、記録というよりも「思考の棚卸し」に近いのかもしれません。
走り書きのような日記を続けている理由
毎日きっちりと日記を書くのは正直難しいですし、続かないと思っています。
だからこそ、書けるときに、書きたいことだけを書く。
形式に縛られないことで、無理なく続けることができています。
また、誰かに見せる前提ではないので、きれいごとを書く必要もありません。
その時に感じていた不安や焦り、弱音のようなものも、素直に書くことができます。
経営者という立場上、外ではあまり口にできない本音を吐き出せる場所として、日記はちょうど良い存在です。
久しぶりにノートを読み返して
先日、何年も前に書いていたノートを久しぶりに読み返しました。
そこには、2020年当時に考えていた事業の計画や、借金返済に対する切実な悩みが、そのままの言葉で残っていました。
当時の私は、目の前の借金をどう返していくか、それだけで頭がいっぱいだったように思います。
ノートには返済計画が細かく書かれており、将来への不安や精神的な余裕のなさが、今読み返してもはっきりと伝わってきました。
現在の状況と比べると、事業も資金面も確実に良くなっています。
それでも、過去の日記に残された自分の言葉を読むことで、「あの頃も必死だった」「よくここまでやってきた」と、少し距離を置いて自分を振り返ることができました。
日記を書くことの価値は、書いている瞬間よりも、こうして時間が経ってから過去の自分と向き合える点にあるのかもしれません。
2020年の自分と向き合う

久しぶりに読み返したノートの中で、最も強く印象に残ったのが2020年当時の記録でした。
そこには、今よりもずっと切迫した状況の中で事業と向き合っていた自分の姿がありました。
当時は先のことを考える余裕もなく、目の前の課題を一つずつ処理していくことで精一杯だったように思います。
改めて文字として残された記録を読むことで、記憶の中だけでは曖昧になっていた当時の空気感まで思い出しました。
借金に悩んでいた当時の状況
2020年当時、事業には金融機関からの借入だけでなく、知人から借りているお金もありました。
金融機関への返済は毎月決まった額をきちんと返していましたが、知人への返済については期限を明確に決められないまま、借り続けていたのが実情です。
中には、「いつ返してもらえるのか」と直接聞いてくる知人もいました。
そのたびに明確な返答ができず、のらりくらりとかわしながら、なんとか時間を稼いでいた記憶があります。
返済のプレッシャーは、金額そのものよりも、人間関係に影響が出かねない点にありました。
事業がうまくいかなければ、人にも迷惑をかけてしまう。
そうした不安を抱えながら、日々の商いを続けていた時期だったと思います。
返済計画に書いてあった未来
ノートには、借金返済の計画がかなり具体的に書かれていました。
何年後にいくら返済し、最終的に完済する時期まで、現実的な数字で整理されていたのが印象的です。
その計画では、完済予定は2026年となっていました。
実際には2025年に完済できたため、結果としては計画よりも一年早い達成となります。
当時の自分は、「とにかく借金さえ返し切れれば、それでいい」と強く思っていたはずです。
今振り返ると、その必死さがあったからこそ、ここまで継続して事業を続けてこられたのだと感じています。
計画と現実のズレ

2020年に書いたノートには、返済計画とともに「2026年で完済」という一つのゴールが記されていました。
当時の自分にとっては、それが現実的な最短ルートであり、希望でもあったのだと思います。
結果として、借金は2025年に完済することができました。
計画よりも1年早い達成です。
振り返ってみると、事業環境の変化や売上の伸び、そして何よりも「返すことを最優先にする」という判断を続けてきた積み重ねが、少しずつ結果につながったのだと感じています。
予定より1年早く完済できたこと
完済した瞬間は、大きな達成感があったかというと、意外とそうでもありませんでした。
もちろん肩の荷は下りましたが、「やっと普通のスタートラインに立てた」という感覚の方が近かったように思います。
借金がある状態が長かった分、それが日常になっていたのかもしれません。
完済はゴールというよりも、一つの区切りであり、次のフェーズに進むための準備が整った、そんな感覚でした。
達成しても生まれる新たな不安
借金さえ返せば、あとは気持ちも楽になる。
当時はそう信じていましたが、現実は少し違いました。
目の前の不安が一つ消えると、今度は別の不安が顔を出します。
この事業を、いつまで続けられるのか。
今の状況が、いつまで維持できるのか。
目標という言葉を使えば前向きに聞こえますが、実際には多くが「不安」の形をしています。
ただ、それでも事業を続けている以上、この感覚とは付き合っていくしかないのだろうとも思います。
計画と現実には、必ずズレが生まれます。
それでも、そのズレを修正しながら前に進めていること自体が、今の自分にとっては一つの成長なのかもしれません。
事業を続ける限り消えない不安

借金を完済し、数字の上では以前よりも安定した状態になりました。
それでも、不安が完全に消えたかというと、正直なところそうではありません。
事業をしている以上、不安は常にどこかにあります。
形を変えながら、内容を変えながら、ずっと付きまとってくるものなのだと、最近は感じるようになりました。
不安の質が変わっただけという実感
2020年当時の不安は、とにかく切実でした。
借金を返せるのか、人に迷惑をかけ続けてしまうのではないか。
目の前の現実に押しつぶされそうな、不安とストレスでした。
今の不安は、そこまで切迫したものではありません。
ただ、「この状態がいつまで続くのか」「次に何が起こるのか」といった、先の見えない不安に変わっています。
不安がなくなったのではなく、不安の質が変わっただけ。
そう考えると、事業を続けるということは、常に不安と向き合い続けることなのかもしれません。
それでも今の事業に手応えを感じている理由
それでも、以前と決定的に違う点があります。
それは、自分の事業の強みを、今ははっきりと理解しているということです。
どこで評価されているのか。
なぜ選ばれているのか。
どの部分が簡単には真似されにくいのか。
こうした点が、自分の中で言語化できるようになりました。
天災などの不可抗力でブランド自体が消滅しない限り、急激に崩れるイメージは持っていません。
不安はありますが、手応えも確かにあります。
その両方を抱えながら進んでいくことが、今の自分にとっての「経営」なのだと思っています。
日記を続ける意味

事業を続けていると、日々の判断や感情は流れるように過ぎていきます。
その時々では必死でも、振り返る余裕はなかなかありません。
だからこそ、完璧でなくても、走り書きのような形でも、日記として残しておくことに意味があると感じています。
過去の自分を客観的に見るという効果
日記を読み返して一番感じたのは、過去の自分を他人事のように見られるという点でした。
当時は余裕がなく、感情の中にどっぷり浸かっていた出来事も、時間が経つと冷静に受け止められます。
「あの頃はあの状況で、ああ考えるしかなかった」
そう思えるだけでも、過去の選択を肯定できるようになります。
過去の自分と今の自分を比べることで、成長している部分や、逆に変わっていない部分にも気づけます。
それが、今の判断を落ち着いて行うための材料になっている気がします。
毎日でなくても書く価値はある
このブログ記事で書くことも考えましたが、内容が生々しくなりすぎてしまったり、固有名詞を書きたくなる場面も多く、公開型のブログにはあまり向いていないと感じました。
だからこそ、こうした内容は誰に見せるわけでもない、個人的な走り書きで残すのがちょうど良いのだと思います。
きれいにまとめようとする必要はなく、日付とともに「今考えていること」「整理したいこと」「直面している壁」などを書くだけでも十分です。
毎日続けるのは難しくても、定期的に書き残しておくだけで、時間が経ったあとに過去の自分を客観的に見られるようになります。
その積み重ねが、不安と向き合いながら事業を続けていく上での、静かな支えになってくれる気がしています。
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