
事業を開始してから十数年間、私は当たり前のように金融機関からの借り入れを繰り返していました。
「借りられるときに借りておくのが正解」という経営の通説もありますが、私はあえてその常識を捨て、無借金経営という道を選択しました。
昨年の8月にすべての借入金を完済し、無借金になってからまもなく1年が経とうとしています。
今回は、借入金ゼロの経営へと切り替えたことで変わったこと、そして私が今感じているリアルなメリットについてお話しします。
当たり前だった「借り入れ」からの脱却と、まもなく1年を迎える現状

かつての当たり前をやめてみて分かったのは、通説が必ずしも正解ではないということです。
「借りられるときに借りる」という通説に対する私の選択
一般的には、手元のキャッシュを厚くするために、必要がなくても借りておくべきだという意見が根強くあります。
しかし、実際に無借金にしてみると、キャッシュフローが圧迫されるようなことは全くありませんでした。
むしろ、毎月の返済という義務がなくなったことで、手元の現預金が溜まっていくスピードは以前よりも確実に上がっていると実感しています。
キャッシュフローの圧迫は皆無。むしろ加速する現預金の増加スピード
当たり前のことですが、毎月口座から引かれていた返済額がそのまま手元に残るため、預金残高は昨年よりも大きく増えました。
融資による一時的な「膨らんだ数字」ではなく、すべてが事業から実質的に生み出された自前の現預金です。
借入金に頼ることなく、自力で回せるだけの運転資金を常に維持できているため、資金枯渇の心配は一切ありません。
無借金経営がもたらした「時間」と「精神」の確かなメリット

無借金経営は、財務面だけでなく、経営者としてのリソースや精神面にも大きな好影響を与えています。
銀行員からの営業が減少し、貴重な時間を確保できる喜び
目に見える変化として、金融機関の担当者からの営業が目に見えて減りました。
これまでは、融資や保険商品の提案などで年に数回、店舗まで直接足を運ばれることがあり、その対応に時間を割かれていました。
今では取引がないこともあり、そうした営業の機会自体が減少しています。
日々時間に追われる中で、数十分でも自分の時間を奪われない環境を作れたことは大きなメリットです。
家族に連帯保証の足枷を残さない。万が一のときも揺るぎない精神的安定
最も大きなメリットは、精神的な安定感です。
もし今、私に万が一のことがあっても、店に借金は一円もありません。
残された妻には実務的な負担をかけることにはなりますが、残った現預金で店舗を適切に撤退し、残額をそのまま相続するだけで済みます。
もし借金の連帯保証人にでもなっていれば自己破産を免れない状況になりますが、家族に一切の迷惑をかけない状態を作れたことは、何にも代えがたい安心感に繋がっています。
デメリットが「ゼロ」である理由と、今後のリスクに対する現実的な視点

この経営スタイルにおいて、デメリットは一切ないと言い切れます。
それは、潤沢な運転資金という裏付けがあるからです。
潤沢な運転資金が担保する、無借金経営の絶対的な強さ
無借金であることの唯一の懸念は「売上の急激な低下」ですが、これは取り扱いブランドの人気やファッション業界の流行に左右されます。
しかし、ブランドが市場から消滅しない限り、私の店が生き残る可能性は極めて高いと考えています。
現在、主力として扱っているブランドの取扱量や販売シェアは、競合店舗と比べても圧倒的な上位に位置しているという自負があるからです。
ブランド側も価値を落とさないよう徹底したコントロールをされており、この優位性が揺らぐことはまずありません。
万が一の販売不振時における決断。傷口を広げるための借り入れはしない
もし、その主力ブランドでも売上が取れなくなるような事態になれば、他のブランドに乗り換えたところで競合に勝てるはずがなく、どのみち継続は困難です。
そんな局面で、延命のために金融機関から慌てて借り入れを起こしても、それは傷口を広げるだけの行為になります。
今のやり方で事業が継続できないほど市場が冷え込んだのであれば、借金を背負う前に、潔く廃業を選択するのが一番正しい判断だと考えています。
廃業の日まで、このスタイルを貫き通すという決意

このような現実的なシミュレーションを繰り返した結果、私が出した結論は「今後も無借金経営を続ける」ということです。
融資に頼って事業の規模を無理に追うのではなく、自前の資金で身軽に、かつ強固に運営していく。
これが今の私の最適解です。
この無借金経営は、いつか店を畳む最後の日まで貫き通すつもりでいます。
万が一、今後大きく考えが変わることがあればまたこのブログで報告しますが、おそらくその機会は訪れないだろうと思っています。
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