
みなさんは、ご自身の会社の「営業利益率」が何パーセントかパッと答えることができるでしょうか。
「そんな細かい数値を見たところで、日々の売上や業績が変わるわけではない」と感じる方も少なくないかもしれません。
実は、かつての私もまったく同じように考えており、目の前の売却や仕入れのことで頭がいっぱいになっていました。
しかし、経営を続ける中でその考え方はガラリと変わりました。
数字を正しく把握することは、ただの計算ではなく、他社と比較して自社が優れている部分や、逆に脆い部分を客観的に突きつけられる経営のコンパスだと気づいたからです。
数字なんて見ても変わらない?私が「営業利益率」を重視する理由

日々の忙しさに追われていると、どうしても通帳の残高や日々の売上高ばかりに目が向きがちになります。
しかし、売上がどれだけ大きくても、手元に利益が残らなければ事業を健実に継続していくことはできません。
私が「営業利益率」という指標を強く意識するようになったのは、これが自社の健康状態を最も正確に表すバロメーターだと知ったからです。
営業利益率とは?「事業の稼ぐ力」を評価する指標
営業利益率とは、「営業利益 ÷ 売上高 × 100」というシンプルな計算式で導き出すことができる指標です。
本業の売上から、商品の仕入れ原価や人件費、家賃といったすべての経費を差し引いた後、最終的に何パーセントが利益として手元に残るかを表しています。
つまり、売上を作るためにどれだけ効率よくお金を使えているかという、「事業そのものが持つ稼ぐ力」を評価するために欠かせない数字なのです。
同業他社と比較することで、自社の強みと弱みが見えてくる
この数字を知る最大のメリットは、自分と同じ業種の平均値と比較することで、自社の立ち位置が明確になる点にあります。
他社と比べることで、「なぜうちは利益が残りにくいのか」「どこにお金をかけすぎているのか」といった、普段の業務では見えにくい強みや弱みが一目で浮き彫りになります。
競合に勝っている部分をさらに伸ばし、弱い部分を補うための具体的な戦略を練るためにも、この比較はなくてはならないプロセスです。
平均は3〜8%。私のセレクトショップが「利益率10〜12%」を叩き出す理由

一般的なセレクトショップの営業利益率は、おおむね3〜8%程度と言われています。
アパレル業界は在庫リスクやトレンドの移り変わりが激しく、利益を薄く削りながら運営している店舗も少なくありません。
そんな中で、私のセレクトショップの営業利益率は「10〜12%」ほどを常に維持しており、これは一般的に見れば「超優良企業」とされる水準です。
この高い数字を維持できている背景には、徹底的に無駄を省いた3つの明確な理由があります。
理由①:家賃が圧倒的に安い「地方の路面店」という選択
1つ目の理由は、店舗の立地にあります。
都会の華やかな一等地や大型のショッピングモールに出店すれば集客は見込めますが、その分だけ莫大な家賃という固定費が毎月重くのしかかります。
一方で、私のショップは地方の路面店という選択をしているため、固定費としての家賃を圧倒的に安く抑えることができており、これが利益を圧迫しない大きな盾となっています。
理由②:値引き(セール)をしない、頑なな「プロパー販売」の徹底
2つ目の理由は、アパレル業界では当たり前のように行われている値引き販売(セール)を、基本的には行わないという点です。
シーズン終わりだからといって安易に値下げをせず、価値を認めてもらえる価格で売り切る「プロパー販売」を徹底しています。
これにより、売上に対する原価率が安定し、せっかく生み出した粗利益を自分から削りにいくような悪循環を回避できています。
理由③:7人分の仕事を2人で回す、究極の少数精鋭スタイル
そして3つ目の理由であり、最もインパクトが大きいのが人件費の低さです。
私のショップと同等レベルの事業規模であれば、一般的には平均して7名程度の社員を抱えて運営することが多いとされています。
これはTKCのデータに基づいた平均値です。
しかし、私たちの事業は基本的に私を含めた「たった2人」という超少人数の体制で回しており、他社に比べて人件費の割合が異常なほど少ないことが、高い利益率に直結しています。
超優良の裏にあるリアル。高い営業利益率がもたらすメリットとデメリット

このように数字だけを紐解いていくと、非の打ち所がない完璧なビジネスモデルのように見えるかもしれません。
しかし、物事には必ず表と裏があるように、営業利益率が高いという状態にも、良い部分と悪い部分の双方がはっきりと存在しています。
数字の裏側に隠された、個人経営ならではのリアルな実態についても触れておきたいと思います。
【メリット】無駄がなく、その分だけ「給与」として還元できること
高い利益率を維持できることの最大のメリットは、会社としての資金繰りに余裕が生まれ、事業の安定性が増すことです。
無駄な経費や余計な人員へのコストが発生していないため、生み出した利益をダイレクトに自分たちの「給与」として手元に残すことができます。
働いた成果がしっかりと自身の収入として還元される仕組みは、経営を続ける上での大きなモチベーションになります。
【デメリット】常にマンパワーの限界と隣り合わせ。忙しすぎて暇がない
一方で、このスタイルの最大のデメリットは、すべての業務が個人の「マンパワー」に完全に依存してしまう点です。
本来なら7人で分担すべき業務を2人だけで処理しているため、とにかく毎日が信じられないほど忙しく、お店でぼんやりと暇をつぶすような時間はありません。
仕組み化や効率化もしていますが、どうしても限界があります。
自分たちが倒れたら終わりというプレッシャーと常に隣り合わせであることは、大きな課題です。
まずは計算してみよう。数字は会社の「健康診断」

営業利益率という数字を意識することで、私のセレクトショップが持つ「少人数・地方・プロパー販売」という強みと、「マンパワーへの依存」という課題の両方がはっきりと見えてきました。
数字は嘘をつきません。
イメージや感覚だけで経営するのをやめ、客観的なデータとして自社を見つめ直すことで、初めて気づく新しい発見が必ずあります。
もし、これまで自社の利益率をしっかりと計算したことがなかったという方がいれば、ぜひ一度計算してみてください。
それはまるで会社の健康診断のように、今のあなたの事業が本当に健やかに稼げているのか、それともどこかに無理が生じているのかを、静かに教えてくれるはずです。
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