2026年 運営日記 運営日記

鬼門の8月【セレクトショップ運営日記】

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セレクトショップの運営において、夏場、特に8月は1年の中で最も売上が伸び悩む「鬼門の月」として知られています。

当店にとっても例外ではなく、例年非常に厳しい戦いを強いられる時期です。

過去の苦い経験が頭をよぎる季節でもありますが、ただ恐怖を感じるだけでなく、なぜ特定の年に売上が著しく落ち込んだのかを客観的に紐解くことで、今年取るべき姿勢や着地予測が見えてきます。

今回は過去のデータを振り返りつつ、今年の8月をどう乗り切るかについて率直な思いを綴ります。



1年で最も売上が落ち込む「鬼門の8月」



アパレル業界全般に言えることですが、8月は季節の変わり目にあたり、夏物は行き渡り秋物はまだ早いという端境期にあたります。

当店においても年間で一番売上が低くなる月であり、経営者として毎年胃が痛む思いでこの時期を迎えています。

特に数年前の8月には、普段の平均的な月売上の1/3にまで数字が落ち込むという衝撃的な事態を経験しました。

当時はあまりの落ち込みように強い恐怖と焦りを覚えましたが、単に「暇な月だった」で終わらせず、その裏にあった構造的な要因を冷静に分析することが重要だと気づきました。



普段の1/3まで売上が激減した、忘れられない2023年8月

思い返しても未だにゾッとするのが、2023年8月の売上データです。

前月までの推移からは想像もつかないほど来店数と購入率が落ち込み、最終的な着地は通常月の3分の1という壊滅的な数字になりました。

日銭が入ってこない恐怖と、固定費だけが引かれていくプレッシャーに押し潰されそうになったのを今でも鮮明に覚えています。

セレクトショップを運営していく上で、この時の数字は今でもトラウマとして強く記憶に刻まれています。



数字の裏側にある「要因」

しかし、「8月は売上が上がらない」という事実だけを見て恐怖していても、店舗運営の前進にはつながりません。

なぜあの時そこまで売上が激減したのかを紐解くために、当時のマクロな社会情勢と、自店舗のミクロな在庫状況の2つの視点から再検証を行いました。

数字の激減には必ず明確な理由が存在します。

当時の状況を丁寧に振り返ってみると、店舗努力だけでは抗えない大きな流れと、店舗側の準備不足という明確な課題が見えてきました。



なぜあの年の売上は1/3になったのか?2つの決定的な要因



2023年8月の売上激減を分析した結果、要因は大きく分けて「外部環境(社会情勢)」と「内部環境(自社の在庫)」の2つに集約されることが分かりました。

一見すると複雑に見える業績の低迷も、この2つの軸で切り分けて考えることで、当時の売上ダウンが偶然ではなく必然的に起こった現象であったと理解できるようになります。



社会情勢の変化:モノ消費から「コト消費(体験)」への一斉シフト

1つ目の大きな要因は、2023年5月以降に加速した新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う社会情勢の変化です。

長らく続いた外出自粛や行動制限が解禁されたことで、人々の消費マインドは一気に開放されました。

それまで抑制されていた飲食店での外食、旅行、各種イベントといった「体験(コト消費)」へ一斉にお金が流れ、相対的に服や雑貨などの「商品(モノ消費)」に対する優先順位が著しく低下した時期でした。

この社会全体のマインドシフトが、アパレル店舗にとって非常に強い逆風となったのです。



自社の在庫状況:売れ筋を欠いた「弱気な商品ラインナップ」

2つ目の要因は、自店舗の内部環境、つまり当時の「在庫の質」にありました。

当時の在庫金額の総額自体が極端に少なかったわけではありませんが、問題はその中身にありました。

具体的には、お客様が求めている「売れ筋商品」や「店舗の看板となる強力なアイテム」が不足しており、全体的にラインナップが弱い状態に陥っていたのです。

需要が冷え込んでいる時期だからこそ、引きの強いアイテムが必要だったにもかかわらず、それを用意できていなかった自社の仕入れ判断も大きな失敗要因でした。



では、今年はどうか?在庫状況と最新の社会情勢から弾く「8月予測」



過去の失敗と要因分析を踏まえた上で、では「今年の8月はどうなるのか」という予測と向き合う必要があります。

2023年当時と比較すると、今年の当店を取り巻く環境はポジティブな面とネガティブな面が明確に混在しており、非常に判断が難しい入り組んだ状況となっています。



【強み】過去最高の在庫内容。売れ筋の縦積みで「勝てるラインナップ」

まず自社の在庫状況という点においては、これまでにないほど素晴らしい状態を作り出すことができています。

やや在庫過多気味ではあるものの、過去の反省を生かし、売れ筋商品をしっかりと縦積み(特定商品を深く仕入れること)した強気なラインナップを構築できました。

この仕入れ戦略が正しく機能すれば、例年通り9月頃から本格化する秋物シーズンに向けて爆発的な売上を作れるはずだという強い手応えを感じています。

商品力という内部要因に関しては、過去最高水準の準備が整っていると言えます。



【懸念】インフレによる消費の冷え込みと、熊本大地震の影響

一方で、外部環境に目を向けると決して楽観視はできません。

現在も続く物価高・インフレが直撃しており、生活防衛意識の高まりから消費者の購買行動は明らかに消極的になっています。

さらに、熊本で発生した大地震などの自然災害も、日本全体のマインドや消費行動に冷や水を浴びせる大きな向かい風となっています。

商品力は過去最高であるものの、マクロ経済や社会全体の心理的冷え込みという大きな懸念材料が存在しているのが現状です。



やるべきことはすべてやった。あとは祈る気持ちで日々の営業を



過去のように売上が3分の1まで落ち込むような事態は考えにくいものの、外部環境を考慮すると一気に売上が跳ね上がるような好調さを期待するのも難しいかもしれません。

しかし、セレクトショップの経営者として、今回の仕入れや在庫戦略に関しては「今できる最善の準備」をすべてやりきったという自負があります。

不確定要素の多い市場において、コントロールできる部分(商品選定や店づくり)は徹底して仕上げました。

あとは結果がついてくることを祈りつつ、目の前のお客様一人ひとりに向けて誠心誠意、日々の営業を積み重ねていきたいと思います。





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